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雇用契約書作成のポイント

雇用契約書はなぜ必要?

労働基準法第15条では、使用者は労働契約の締結に際し、賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない、としています。また、労基法施行規則第5条では、一定の事項については書面交付を義務付けています。
書面による明示事項について違反すると30万円以下の罰金に処せられる場合がありますが、それ以上に深刻な是正勧告を受けるケースが増えています。

また、パートタイム労働法(平成20年4月1日改正)では、パートタイム労働者を雇い入れたとき

  • 1) 昇給の有無
  • 2) 退職手当の有無
  • 3) 賞与の有無

の3事項を文書の交付(3つの事項についてはパートタイム労働者が希望した場合は電子メールやFAXでも可能)等により、速やかに、パートタイム労働者に明示することが義務付けられています。

これに違反した場合、行政指導によっても改善がみられなければ、パートタイム労働者1人につき契約ごとに10万円以下の過料に処せられることをご存知でしょうか。

書面の明示義務を満たすには、必ずしも契約書である必要はありません。
労働条件通知書でもよいのですが、労使が書面で労働条件を確認して承諾した、という点が明確になる意味で、特に正社員や有期契約社員については契約書の形式が望ましいといえましょう。

雇用条件を明示した書面がないと、特に賃金に関する面でトラブルを招きやすくなります。
同時に、労働基準監督署による是正勧告を受けるリスクが高まってしまいます。
例えば、

  • ・ 残業が恒常的にありがながら、割増賃金に関する取り決めが一切ない
  • ・ 残業代を含めた給与だといいながら、何時間分の時間外労働か示されていない
  • ・ 賞与や退職金の有無について記載がなく、社員は受け取れるものと思い込んでいる
  • ・ 年次有給休暇の記載が一切ない(与えない) 等

特に就業規則のない会社では、統一された労働ルールが確立されていない場合が多いので、より一層、雇用契約書が大きな意味を持ってくるのです。

何を書けばよいか?

それでは、雇用契約書にはどのようなことを書けばよいのでしょう?
法律では、これだけは絶対に書かなければならない記載事項と、口頭で伝えればよい事項が決められています。

労働条件の明示

書面の交付による明示事項 口頭の明示でもよい事項
  • ①労働契約の期間
  • ②就業の場所・従事する業務の内容
  • ③始業・就業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、交代制勤務をさせる場合は就業時転換に関する事項
  • ④賃金の決定・計算・支払の方法、賃金の締切り・支払の時期に関する事項
  • ⑤退職に関する事項(解雇の事由を含む)
  • ①昇給に関する事項
  • ②退職手当の定めが適応される労働者の範囲、退職手当の決定、計算・支払の方法、支払の時期に関する事項
  • ③臨時に支払われる賃金・賞与などに関する事項
  • ④労働者に負担させる食費・作業用品その他に関する事項
  • ⑤安全衛生に関する事項
  • ⑥職業訓練に関する事項
  • ⑦災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
  • ⑧表彰、制裁に関する事項
  • ⑨休暇に関する事項

注意したいのは、労働基準法で定める基準に達しない労働条件を定めた場合は、その部分について無効になるということ。

この場合、無効となった部分は労働基準法が適用されることになります。
ですから、会社で考えている労働条件が、労働基準法をクリアしているかどうかをまず確認しましょう。

こんなケースは要注意!

そもそも、雇用契約書や労働条件通知書がない、ということは問題だという認識をもつことです。
労働基準監督署による調査があった場合、労働条件の明示もなく何ら労働契約に関する書面もなければ、労働基準法第15条違反として是正勧告を受けることになるでしょう。

この場合、速やかに雇用契約書等を作成することで是正報告をすれば、それ自体の問題はクリアできるかもしれません。

しかし、労使間で労働条件の認識の違い、例えば昇給や賞与、残業代などの支払いでトラブルに発展することは十分に考えられます。

仮に、「固定残業手当を払っているつもり」だった場合でも、それを立証する根拠は存在しません。口約束で、基本給に含まれていると伝えていることは論外ですが、基本給と別に手当を支払っていたとしても、それが何の対価なのか示していなければ、意味がありません。

よくあるケースが、1~2万円といった一定額の手当てを社員全員に支給し、それが残業代であるからそれ以上一切支給しない、というもの。
これは非常に問題です。

社員全員が同じ基本給ということはありえませんから、時間単価は違うはずです。
それを一定額に当てはめると、社員ごとに手当に含まれる時間外労働数は異なることになります。

固定残業手当として2万円支給している場合
時間単価が1,000円のAさん → 25%割増率で16時間分
時間単価が2,000円のBさん → 25%割増率で8時間分

このケースでは、Aさんが16時間、Bさんが8時間を超えた場合に、時間外労働手当を別途支払う必要が生じてきます。

定額で支給すること自体は問題ではありませんが、一定額とする場合には、それぞれどの程度の時間外労働数なのかを把握しておく必要があります。

そこまでの根拠を示した雇用契約書等すること、そして根拠に基づきしっかりと給与計算をすること、が重要なのです。
こうした手続きを踏まずに、みなし残業手当を支払っていると、是正調査に対応することはできません。

是正勧告を受けて、過去2年分の時間外労働を支払うように命じられるケースもあるのです。
勧告を無視していると、書類送検もあり得ます。
新聞等で、是正勧告に関する記事を読んだことはないでしょうか。

こうした問題を未然に回避するためにも、しっかりと労働条件を確認したうえで雇用契約書を作成し、日頃の労務管理をきちんと行っていくことが大切になるのです。