解雇のトラブル
試用期間(6箇月間のうち、現在3箇月目)中の社員Tさん。勤務態度が悪く、社長は憤りを感じています。
| 社長 | 「T君はやる気があるのかね?お客様からのクレームも、君の応対が原因だ。君を正社員にすることは、とてもじゃないができない」 |
|---|---|
| 社員T | 「こんな会社こっちから願い下げだね」 |
| 社長 | 「何だと?君は今日限りでクビだ!」 |
ここがポイント!
試用期間中であっても、14日を超えた時から解雇手続きを行わなければなりません。30日前に解雇予告をするか、30日分以上の平均賃金を支払うことが必要です。
■解雇の予告
解雇予告を行う場合、30日前までに、トラブルを避けるためにも書面で行うことが原則です。その際、解雇日を明確に特定します。
この予告期間中、当然ながら出勤した分については賃金を支払うことになりますが、出勤がなければ必要ありません。
もし会社が休業を命じた場合は、休業手当(平均賃金の6割以上)の支払いが必要となります。
■解雇予告手当の支払い
30日前に予告をしない場合、30日分以上の平均賃金を支払うことによって予告期間を設けず解雇が可能となります。この予告手当は、現金で直接社員に支払うことが原則です。
例えば解雇予告を20日前にする場合、残り10日分を解雇予告手当で支払えば、要件を満たすことになります。
■懲戒解雇の場合
懲戒解雇のケースでは、重大な違反行為が原因となるため、即時解雇が一般的です。この場合、労働基準監督署長の認定を受ければ、解雇予告手当を支払うことなく解雇が可能となります。認定の申請に際しては、就業規則の提出が求められます。
※懲戒解雇をする社員に対し、退職金の支払いをどうするかについては、就業規則の定めによります。例えば、横領など重大な違反を犯した者がいた場合でも、規定がなければ全額支給することになりますので要注意です。
■解雇が禁止される理由とは?
法律上認められない解雇として、次のものがあります。
【解雇制限期間】
・業務上の負傷や疾病による休業期間及びその後30日間
・産前産後の休業期間及びその後30日間
※ただし、上記の解雇制限期間中であっても、(1)事業の継続が不可能で労働基準監督所長の認定を受けている場合、(2)業務上の療養開始後3年を経過しても負傷・疾病が治らず、平均賃金の1200日分の打切補償を行った場合は可。
・国籍や信条を理由とする解雇
・組合員であることを理由とする解雇
・労働組合に加入、または結成しようとしたことを理由とする解雇
・育児休業または介護休業を申し出たことを理由とする解雇
・女性であることを理由とする解雇
・女性が結婚や妊娠、産前産後休業の取得を理由とする解雇
これらの制限は、労働基準法や労働組合法、育児・介護休業法、雇用機会均等法によるものです。
■こんな場合は予告の必要なし
(1)日々雇用される者
(2)2ヵ月以内の期間を定めて雇用される者
(3)季節的業務に4ヶ月以内の期間を定めて雇用される者
(4)試用期間中の者(14日以内の場合)
(1)~(3)は所定の期間を超えたときから解雇手続が必要となります。
■解決策は?
試用期間中でも、14日を超えてしまっている今回のケースでは、解雇手続きが必要となります。つまり、30日前に書面で予告をするか、即時解雇の場合は30日分以上の平均賃金を支払うことになります。
ここでも就業規則で解雇の規定に試用期間中のケースを明記しておくことが大切です。
例えば、試用期間中の者で会社が不適当と認めたとき、という事由を明記した場合でも、それが客観的に合理的でなければ、権利の濫用として無効になることも考えられます。
解雇は労使間のトラブルで一番多い問題だけに、慎重な対応が求められます。



