グレース・パートナーズ社労士事務所

佐佐木由美子のちょっと役立つコラム

健康保険証の記載事項に関する取り扱い



 

● こんにちは、グレース・パートナーズの佐佐木由美子です。

 

多様性のある職場風土を築いていくことは、これからの企業における課題のひとつです。

 

● 今回は、会社の労務・人事担当者が押さえておくべき知識として、性同一性障害を有する被保険者の保険証(健康保険被保険者証)の記載事項に関する取り扱いについてお伝えします。

 

本人確認書類としても身近な存在である保険証ですが、性同一性障害を有する被保険者からの希望があり、保険者が認めれば、保険証の表面の氏名欄に戸籍上の氏名ではなく、通称名を記載すること等が健康保険においても可能となりました。

 

このような取り扱いがなされるようになった背景には、医療機関の窓口などで保険証を提示した本人の見た目と保険証に記載された氏名や性別が異なってみえるため、本人確認が困難となったり、心理的苦痛を受けるなどの問題がありました。

 

厚生労働省から出された通知「被保険者証の氏名表記について」(保保発0831第3号)の内容は以下のとおりです。

性同一性障害を有する被保険者又は被扶養者から、被保険者証において通称名の記載を希望する旨の申し出があり、保険者がやむを得ないと判断した場合には、被保険者証における氏名の表記方法を工夫しても差し支えない。

 

また、被保険者証における氏名の表記方法については、様々な場面で被保険者証が本人確認書類として利用されていることに鑑み、裏面を含む被保険者証全体として、戸籍上の氏名を確認できるようにすること。

具体的には、保険証の表面の氏名欄に通称名を記載し、裏面の備考欄に「戸籍上の氏名は○○」と戸籍上の氏名を記載するという方法が挙げられます。

 

申し出に際しては、性同一性障害を有するか否か判断するために、医師の診断書等の性同一性障害を有することを確認できる書類及びその通称名が社会生活上日常的に用いられていることが確認できる添付書類を提出する必要があります。

 

なお、性別については、厚生労働省の事務連絡(平成24年9月21日)において、「やむを得ない理由があると保険者が判断した場合は、被保険者証の表面ではなく裏面に戸籍上の性別を記載できるようにする」との取り扱いが示されています。

 

具体的には、保険証の表面の性別欄に「裏面参照」と記載し、裏面の備考欄に「戸籍上の性別は男(又は女)」と記載する方法が挙げられます。

 

● こうした保険証の記載事項に関する取り扱いを希望する従業員がいたとしても、本人が会社に申し出ることを躊躇することが懸念されます。

 

しかしながら、この申し出は会社を通さずに従業員本人が健康保険組合に直接申し出ることも可能です。

 

こうした取り扱いができることを社内で適切に共有することで、性同一性障害に悩む従業員の助けになるかもしれません。

 

※ この投稿内容は、掲載日時点の法律等に基づいて作成しています。




2017年10月26日

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