グレース・パートナーズ社労士事務所

佐佐木由美子のちょっと役立つコラム

介護に関する制度の利用申出の実務



 

●こんにちは、グレース・パートナーズの佐佐木由美子です。

2000年に介護保険法が施行されてから、17年。この間に変遷をたどりつつ、先月には参議院本会議で、「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」(介護保険関連法)が可決、成立しました。

2018年8月1日から、現行制度の2割負担者のうち、特に所得の高い層の負担割合を3割となり、負担増となる対象者は約12万人と見込まれています。

●今回は介護休業や介護休暇など、介護に関する制度の利用申出の実務について、お伝えいたします。

育児・介護休業法は、平成28年3月に改正され、平成29年1月1日から全面施行されました。

改正前の介護休業は、介護を必要とする対象家族1人につき、通算93日まで原則1回に限り取得可能とされていましたが、改正後は、対象家族1人につき、通算93日まで3回を上限として分割取得が可能となりました。

この他にも、介護に関する制度について、以下のような改正が加えられています。

・介護休暇(年5日)は、半日単位の取得を可能とする

・介護のための所定労働時間の短縮措置は、3年間の間で少なくとも2回以上の利用を可能とする

・介護のための所定外労働の制限は、対象家族1人につき、介護終了まで利用可能とする(新設)

・有期契約労働者は、申出時点で過去1年以上継続し雇用され、介護休業の取得予定日から93日を経過する日から6か月を経過する日までに雇用関係がなくなることが明らかでない場合、介護休業を取得可能

このように、家族の介護が必要な時期に、男女ともに離職することなく働き続けることができるよう、雇用環境の整備が進められる中、介護に関する制度の利用を申し出る従業員も増えているのではないでしょうか。

○ 実務においては、従業員から介護に関する制度の利用申出があった際に、従業員が取得要件を満たしているかを適切に確認する必要があります。

※対象労働者や期間等は制度ごとに定められていますので、各規定をご確認ください。

介護に関する制度の利用申出時に共通して確認するべき事項は、従業員が要介護状態にある対象家族を介護していることです。

対象家族とは、配偶者(事実婚含む)、父母及び子、祖父母、兄弟姉妹及び孫、配偶者の父母です。

育児・介護休業法に定める「要介護状態」とは、負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態のことをいいます。

常時介護を必要とする状態については、判断基準が定められており、この基準に従って判断されます。

■常時介護を必要とする状態に関する判断基準

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000145708.pdf

介護保険制度における要介護状態区分では要介護1以下と判定されている場合であっても、「常時介護を必要とする状態に関する判断基準」の表に照らして判断できる場合には、要介護状態となります。

会社は、労働者から介護に関する制度の申出を受けた場合、労働者に対して申出に係る対象家族が要介護状態にあること等を証明する書類の提出を求めることができます。

証明書類は「医師の診断書」等に限定されておらず、要介護状態にある事実を証明できるもので労働者が提出できるものとする必要があります。

具体的に、証明書は以下の2点を証明するものとされています。

・申出に係る対象家族の氏名及び労働者との続柄

・申出に係る対象家族が要介護状態にあること

就業規則において、介護に関する制度の利用申出に医師の診断書の添付を義務づけることなどは望ましくなく、書類が提出されないことをもって休業させないということはできないとされている点にご注意ください。

また、介護休暇については、指針において、要介護状態にある対象家族の介護その他の世話を行うための休暇であることから、証明書類の提出を求める場合には事後の提出を可能とする等、労働者に過重な負担を求める事にならないよう配慮することとされています。

このとき、事後に提出された証明書等が取得要件に該当しない場合等は、従業員本人の希望を確認したうえで年次有給休暇として扱う、若しくは欠勤として扱うなど、会社は柔軟な対応が必要となります。

会社は、労働者が適切に介護に関する制度を利用できるよう、日頃から制度の内容を周知し、要介護状態を適切に判断できるよう前述した「常時介護を必要とする状態に関する判断基準」等をご案内いただければと思います。

※ この投稿内容は、掲載日時点の法律等に基づいて作成しています。

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2017年06月22日

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