グレース・パートナーズ社労士事務所

佐佐木由美子のちょっと役立つコラム

遅刻で罰金は違法になる?



 

●こんにちは、グレース・パートナーズの佐佐木由美子です。

紫外線がまぶしく感じられる今日この頃ですが、お変わりなくお過ごしでしょうか。

●経営者の方から、時々罰金に関するルールを設けたいとご相談いただくことがあります。たとえば、「遅刻1回につき3,000円の罰金を徴収する」といったものです。

会社にとって遅刻が深刻な状況の場合、厳しく対処したいというお気持ちはわからなくもありません。しかし、このようなルールを定めることは、労働基準法違反となる危険性があります。

まず、「罰金の徴収」についてですが、労働基準法16条に「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。」と定められています。

また、これに違反した場合には「6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する」とされています(労働基準法119条1号)。

遅刻に対して罰金を徴収することは、この労働基準法16条に抵触するため、単純に「遅刻1回につき3,000円の罰金を徴収する」というようなルールを定めることはできません。

●この場合、別の方法としては、「欠勤控除」と「減給の制裁」が考えられます。

欠勤控除は、遅刻により発生した不就労時間分の給与を控除することです。

これはノーワーク・ノーペイの原則により、減給処分や違約金とは異なり、当然に行うことができます。

※完全月給制を採用している場合は不可

そのうえで、さらに賃金を控除する場合は、「減給の制裁(労働基準法91条)」を行います。

減給の制裁を行うためには、あらかじめ就業規則での定めが必要となります。

減給の制裁は、労働基準法で「1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない」と規定されていますので、この範囲内で減給の制裁を行うことになります。

一賃金支払期における賃金の総額は、実際に減給を行う該当月に支払われる賃金のことを指しています。

そのため、その月の支給額が20万円の月は減給として2万円まで控除できますが、欠勤控除により支給額が少なく18万円の月であれば1万8千円が減給の限度となります。

なお、遅刻が多い場合は勤務態度の評価が低くなると思いますが、査定によって昇給や賞与の金額に反映させることは、何ら問題ありません。

遅刻は他の従業員の士気も下がることから、目に余る場合は懲戒処分もやむを得ませんが、あらかじめ就業規則の定めが必要となりますので、この点も考慮して就業規則を作成しておくことをおすすめします。

 

※ この投稿内容は、発行日時点において明らかとなっている法律内容に基づき記載しています

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2018年05月18日

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