グレース・パートナーズ社労士事務所

佐佐木由美子のちょっと役立つコラム

「過労死等ゼロ」緊急対策とその施策

 

こんにちは、社会保険労務士の佐佐木由美子です。

 昨年末、厚生労働省は「過労死等ゼロ」緊急対策を取りまとめました。

 背景には過労自殺等の痛ましい事件の発生があり、違法な長時間労働や過労死の防止対策が差し迫った課題であることは既知の事実です。

 「過労死等ゼロ」緊急対策の概要は以下の通りです。

 1.違法な長時間労働を許さない取組の強化

 2.メンタルヘルス・パワハラ防止対策のための取組の強化

 3.社会全体で過労死等ゼロを目指す取組の強化

 今回注目したいのは、緊急対策の中で「違法な長時間労働を許さない取組の強化」の具体的な施策として掲げられた「新ガイドラインによる労働時間の適正把握の徹底」です。

 このほど、この新ガイドラインが「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」として公開されました。

 新ガイドラインは、従来の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」(いわゆる46通達)を踏襲し、昨今の労災認定事案における問題点等を踏まえ、より具体的な内容となっています。

 使用者(使用者から労働時間を管理する権限の委譲を受けた者を含みます。)が労働時間の適正な把握を行うべき対象労働者としては、「労働基準法第41条に定める者及びみなし労働時間制が適用される労働者(事業場外労働を行う者にあっては、みなし労働時間制が適用される時間に限る。)を除く全ての者」としています。「いわゆる管理監督者」という表現ではなくなりました。

 ただし、「本ガイドラインが適用されない労働者についても、健康確保を図る必要があることから、使用者において適正な労働時間管理を行う責務があること」とされており、すべての労働者について、適正な労働管理を行う必要があることにご留意ください。

 また、「過労死等ゼロ」緊急対策で新たな取組として明示されていた次の2つの事項も新ガイドラインに盛り込まれています。

 ア.労働者の「実労働時間」と「自己申告した労働時間」に乖離がある場合、使用者は実態調査を行うこと

 イ.「使用者の明示または黙示の指示により自己啓発等の学習や研修受講をしていた時間」は労働時間として取り扱わなければならないこと等を明確化する

 アについては、具体的に「入退場記録やパソコンの使用時間の記録など、事業場内にいた時間の分かるデータを有している場合に、労働者からの自己申告により把握した労働時間と当該データで分かった事業場内にいた時間との間に著しい乖離が生じているときには、実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすること」とされました。

 また「休憩や自主的な研修、教育訓練、学習等であるため労働時間ではないと報告されていても、実際には、使用者の指示により業務に従事しているなど使用者の指揮命令下に置かれていたと認められる時間については、労働時間として扱わなければならないこと」とのことから、使用者は労働者の労働の実態を把握する必要があります。

 イについては、「労働時間として扱わなければならない」時間の一つとして、「参加することが業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講や、使用者の指示により業務に必要な学習等を行っていた時間」が明記されました。

 「客観的に見て使用者の指揮命令下に置かれていると評価されるかどうかは、労働者の行為が使用者から義務づけられ、又はこれを余儀なくされていた等の状況の有無等から、個別具体的に判断されるものであること」とされており、一概に、労働時間であるか否かを判断することができない点にご注意ください。

 なお、労働者が自己申告できる時間外労働の時間数に上限を設け、上限を超える申告を認めない等、労働者による労働時間の適正な申告を阻害する措置を講じてはならないこととされています。

 また、「時間外労働時間の削減」の社内通達などが、労働者の労働時間の適正な申告を阻害する要因となっていないか、36協定の延長時間数を超えて労働していることを隠ぺいするような慣習的な不正が行われていないか等を確認する必要があります。

 新ガイドラインは、適切な労働時間管理を行ううえで必ず押さえておきたい内容ですので、ご確認いただき、自社における対応がこのガイドラインに則っているかをチェックしていただくと良いのではないでしょうか。

 今後も「過労死等ゼロ」緊急対策の具体的な取り組みが進められ、実務への影響も出てくるものと思われますので、引き続き注目が必要です。

 ※ この投稿内容は、掲載日時点の法律等に基づいて作成しています。

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2017年02月02日

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