グレース・パートナーズ社労士事務所

佐佐木由美子のちょっと役立つコラム

パートの年休取得、1日の労働時間が違うときの給与は?

 

こんにちは、グレース・パートナーズの佐佐木由美子です。

 

皆さまは正社員だけではなく、アルバイトやパート従業員にも年次有給休暇(以降、年休といいます)の付与義務があることをご存じのことと思います。

 

アルバイトやパート従業員のなかには、日ごとに所定労働時間が異なる従業員もいるのではないでしょうか。

 

本日は、実務において迷うことが多い、日ごとに所定労働時間が異なるアルバイトやパート従業員が年休を取得した日の賃金の計算方法についてお伝えします。

 

○年休を取得した日の賃金は、労働基準法39条7項において、以下の3つの方法が定められています。

 

1.平均賃金

 

2.年休取得日の所定労働時間勤務した場合に支払われる賃金

 

3.健康保険法による標準報酬日額に相当する額 ※労使協定の締結が必要

 

上記3つの方法の中から1つを選択し、あらかじめ就業規則等に定めをしておかなくてはなりません。

 

1つずつ確認していきましょう。

 

○“1.平均賃金”とする場合、平均賃金の求め方は以下のとおりです。

 

「過去3か月間の賃金の合計÷過去3か月間の歴日数」

 

しかしながら、次の式で計算した額と比較して高い方を取ります。

 

「過去3か月間の賃金の合計÷過去3か月の労働日数×0.6」

 

この方法を選択した場合は、年休取得日の所定労働時間によらず、上記で求めた平均賃金が年休1日の賃金となります。

 

そのため、“2.年休取得日の所定労働時間勤務した場合に支払われる賃金”を選択した場合の年休取得日の所定労働時間の長短によって年休1日の賃金が変動するという不公平感は生まれませんが、年休取得があった場合、給与計算時に毎回平均賃金を算出しなければならず、事務処理は少々煩雑になります。

 

○“2.年休取得日の所定労働時間勤務した場合に支払われる賃金”とした場合は、給与計算においてはシンプルでわかりやすい方法ですが、同じ1日でもシフト等で所定労働時間が短い労働日と長い労働日に、それぞれ年休を取得した場合に受ける賃金が異なることになり、従業員に不公平感が生まれる可能性があります。

 

そして、結果的に所定労働時間が長い労働日に年休の取得が集中することも考えられます。

 

○“3.健康保険法による標準報酬日額に相当する額”とした場合は、健康保険法によって定められた標準報酬月額を「30」で除して得た額を年休取得1日の賃金として支払うというものです。

 

この方法を選択する場合は、労働者にとって不利になるケースもあることから労使協定の締結が必要です。

 

また、所定労働時間が短いパートタイマーの場合は被保険者に該当しないこともあるため、この方法を選択する会社は多くないようです。

 

○年休取得時の賃金の計算方法は、上記3つのうち、いずれかの方法を選択しなければなりませんが、選択する方法によって年休1日の賃金額に違いが生じます。

 

また、選択する方法によっては、従業員が不公平感を持つようなことにもなりかねませんので、慎重に選択する必要があります。


2017年07月10日

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