グレース・パートナーズ社労士事務所

佐佐木由美子のちょっと役立つコラム

仕事と不妊治療の両立について

 

●こんにちは、グレース・パートナーズの佐佐木由美子です。

近年、不妊治療を受ける夫婦が増加しており、働きながら不妊治療を続ける方も増加傾向にあると考えられています。

厚生労働省が行った調査によると、仕事と不妊治療との両立ができず、16%もの方が離職しています。

時間をかけて育成した人材を失うことは企業にとっても損失ですが、本人にとっても培ってきたこれまでのキャリアを手放すことは大きな痛手です。

今回は、仕事と不妊治療の両立について考えてみたいと思います。

●不妊治療に関して、日本において職場の理解が進んでいるとは言い難い状況といえます。

平成29年度「不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての総合的調査」(厚生労働省)の企業調査によると、不妊治療をしている従業員がいることを把握している企業は13%、不妊治療を行っている従業員への支援制度がある企業は9%であり、70%の企業は何ら支援や取り組みを行っていないという回答でした。

不妊の原因は女性だけにあるわけではなく、男性に原因があることもあれば、検査をしてもわからないこともあります。

女性に原因がない場合でも、治療に伴う検査や投薬などにより、女性の身体に大きな負担がかかります。

不妊治療は、内服薬や注射で卵巣を刺激して排卵をおこさせる排卵誘発法や人工授精などの一般不妊治療のほか、体外受精や顕微授精などの生殖補助医療があります。

そして、妊娠・出産まで、あるいは治療をやめる決断をするまで続きます。

こうした不妊治療に関することは、従業員のプライバシーにかかわることですから、十分に理解をして尊重する必要があると言えるでしょう。

会社側としては、通院で休暇が必要になることを理解し、ストレスなく休みが取りやすい状況となるように配慮することが大切です。

個人差があるため一概には言えませんが、女性の一般不妊治療の場合、月経周期ごとの通院目安は診察時間1回30分程度の通院が4日~7日、人工授精を行う場合は加えて1回2時間程度の通院が1日以上と言われています。

治療の性質上、前もって通院のための休暇予定日を決めることが難しく、また診察以外にも待ち時間や通院の往復時間などもあります。

そして治療は身体的・精神的な負担を伴い、ホルモン刺激療法等の影響で体調不良が起こることもあります。

会社側としては、仕事と治療との両立に関して、こうした状況をあらかじめ理解して、支援体制について検討することが望まれます。

●不妊治療は、頻繁に通院する必要があるものの、1回の治療にかかる時間は治療内容等によりさまざまです。

不妊治療のための休暇制度を設けている企業はまだ実際には少ないですが、従業員が不妊治療等を含めた私生活と仕事をうまく両立できるよう支援することは大切なことです。

たとえば、年次有給休暇の半日単位・時間単位の取得制度や始業・終業時間の繰上げ・繰下げ制度、フレックスタイム制度、テレワーク制度、裁量労働制度など柔軟な働き方を可能とする様々な制度の導入が考えられます。

不妊治療に関してはプライベートな事柄ですので、従業員から相談や報告があった場合でも、本人の意思に反して職場全体に知れ渡ってしまうようなことが起こらないように、プライバシーの保護に配慮する必要があります。

従業員本人の希望も聞きながら、うまく両立支援ができるように対応を検討したいところです。

不妊治療を受けている従業員が会社へ不妊治療中である事を伝えるための「不妊治療連絡カード」というツールもあります。

厚生労働省サイト(2ページ目) http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/dl/30b.pdf

こうしたカードがあることを伝えることで、従業員への支援メッセージにもなり得ますので、ぜひ活用されてみてはいかがでしょうか。

少なくとも、人知れず問題を抱えている従業員がいる可能性があることを会社側としては意識して、人事労務管理を行っていただければと思います。

 

※ この投稿内容は、掲載日時点の法律等に基づいて作成しています。

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2018年03月16日

Backnmber