グレース・パートナーズ社労士事務所

佐佐木由美子のちょっと役立つコラム

募集・採用における年齢制限禁止の原則と例外

 ●こんにちは、グレース・パートナーズの佐佐木由美子です。

 今年も早いもので年の瀬が近づいてきました。皆様にとって、どのような一年でしたでしょうか?

 ●ところで現在、雇用対策法により労働者の募集および採用に当たっては、年齢制限を設けることができなくなっています。

 年齢制限の禁止は、年齢に関係なく個々人の能力・適性を判断して募集・採用することで、1人ひとりにより均等な働く機会を与えられるようにすることを目的としていますが、少子高齢化が急速に進展する中で、若者や高齢者などの就業の促進が国の重要な課題となっている背景があります。

 年齢不問として募集・採用を行う場合、選考過程において個々人の適正、能力などにより判断しなければならないため、募集に際しては、職務を遂行するために必要とされる労働者の適正、能力、経験技能の程度など「応募者に求められる事項」をできる限り詳しく明示しなければなりません。

 年齢の幅を広げることでより多くの応募者が集まり、採用したい人材像をより詳しく記載することで応募者の精度が高まることで、結果として求める人材の採用が容易になることが期待できます。

その他にも、幅広い年齢層の人材を揃えることで、職場の内外に好影響があった、高齢者を雇用したことにより助成金が活用できたなどというメリットが挙げられます。

●労働者の募集・採用の際には、原則として、年齢を不問としなければなりませんが、例外的に年齢制限を行うことが認められる場合があります。

例外事由には、以下の6つがあります。(雇用対策法施行規則第1条の3第1項)

 例外事由1号:定年年齢を上限として、その上限年齢未満の労働者を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合

 例外事由2号:労働基準法その他の法令の規定により、年齢制限が設けられている場合

 例外事由3号イ:長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合

 例外事由3号ロ:技能・ノウハウの継承の観点から、特定の職種において労働者が相当程度少ない特定の年齢層に限定し、かつ、期間の定めのない契約期間の対象として募集・採用する場合

 例外事由3号ハ:芸術・芸能の分野における表現の真実性などの要請がある場合

 例外事由3号ニ:60歳以上の高齢者または特定の年齢層の雇用を促進する政策(国の施策を活用しようとする場合に限る)の対象となる人に限定して募集・採用する場合

 よく目にするものとして、例外事由1号の定年年齢を上限とした次のような年齢制限があります。

 「(定年が60歳の会社において)60歳未満の人を募集」

 上記は認められる事例ですが、次のような期間の定めのある(=有期)労働契約である場合、年齢制限は認められませんので注意が必要です。

 ×:60歳未満の人を募集(契約期間1年。更新あり)

 その他に用いられることが多い例外事由3号イと例外事由3号ロについてもそれぞれ注意点を確認しておきましょう。

 <例外事由3号イ:長期勤続によるキャリア形成のため若年者等を対象>

 新卒者などを一括採用し、定年まで終身雇用することを前提とした日本の雇用慣行との調和を図るために設けられた例外事由であり、以下の要件があります。

 ・対象者の職業経験について不問とすること

 ・新卒者以外の者について、新卒者と同様の処遇(訓練・育成体制・配置・処遇等)にすること

 ※「若年者等」とは、必ずしも35歳未満に限られるものではありません。

 例外事由として認められる例と認めなれない例は、以下のとおりです。

 ○:35歳未満の人を募集(高卒以上・職務経験不問)

 ×:30歳未満の人を募集(契約期間1年。更新あり)

 期間の定めのある(=有期)労働契約である場合は認められません。

 また、職務経験を必要としている場合や、「18歳以上35歳未満の人」のように下限年齢を設けている場合も認められません。

 <例外事由3号ロ:特定の職種において労働者数が相当程度少ない特定の年齢層に限定>

 技能・ノウハウの継承が必要となる具体的な職種について、特定の年齢層が相当程度少ない場合、期間の定めのない労働契約で募集・採用するときの例外事例です。

 「職種」とは、厚生労働省「職業分類」の小分類もしくは細分類、または総務省「職業分類」の小分類を参考にします。

 「相当程度少ない」場合とは、同じ年齢幅の上下の年齢層と比較して、労働者数が2分の1以下である場合が該当します。

 「特定の年齢層」とは、30~49歳のうちの特定の5~10歳幅の年齢層です。

 原則として企業単位ですが、一部の事業所で採用などの雇用管理を行っている場合には、その事業所を単位として判断することも認められます。

 例外事由として認められる例と認めなれない例は、以下のとおりです。

 ○:システムエンジニアとして、30~39歳の人を募集  (システムエンジニアは、20~29歳が10人、30~39歳が2人、40~49歳が8人)

 ×:システムエンジニアとして、25~34歳の人を募集

 30歳から49歳の範囲におさまっていない場合は認められません。

 また、年齢幅が5~10歳でない場合や、同じ年齢幅の上下の年齢層と比較して2分の1以下となっていない場合、期間の定めのある(=有期)労働契約である場合も認められません。

 求人の内容が法令に違反する場合には、助言、指導、勧告などの措置がとられることがあり、また、ハローワーク、民間職業紹介事業者が、求人の受理を拒否することがあります。(雇用対策法第32条、第34条、職業安定法第5条の5)

 年齢制限禁止の原則と例外事由を正しく把握し、適切に従業員の募集・採用を行いましょう。

 ※ この投稿内容は、発行日時点において明らかとなっている法律内容に基づき記載しています

 ぜひこのコラムに『いいね!』をお願いします↓↓


2017年12月18日

Backnmber