グレース・パートナーズ社労士事務所

佐佐木由美子のちょっと役立つコラム

雇用保険「特定受給資格者」とは

 

●こんにちは、社会保険労務士の佐佐木由美子です。

木枯らしの吹く季節となり、急に寒くなりましたが、皆さまお変わりございませんでしょうか。

●平成28年8月2日に雇用保険法施行規則が改正され、平成29年1月1日から施行されます。

この改正の内容の1つに「特定受給資格者の範囲の改正」があります。

本日は改正点を含め、雇用保険の「特定受給資格者」について、確認しましょう。

● まず、特定受給資格者とは、倒産・解雇等の理由により再就職の準備をする時間的余裕がなく離職を余儀なくされた方をいいます。

特定受給資格者は、失業等給付(基本手当)の受給資格を得るために必要な雇用保険加入期間※が、「6か月以上」(通常は12か月必要)に短縮されます。

また、失業等給付(基本手当)等を受ける際に、一般の離職者に比べ手厚い給付日数となる場合があります。

※雇用保険に加入していた期間のうち、賃金の支払の基礎となった日数が11日以上ある月を1か月と計算します

では、具体的にどのような場合に、特定受給資格者に該当するのでしょうか。

現在のところ、以下に該当する場合、特定受給資格者に該当することとされています。

1.「倒産」等により離職した者

(1) 倒産(破産、民事再生、会社更生等の各倒産手続の申立て又は手形取引の停止等)に伴い離職した者

(2) 事業所において大量雇用変動の場合(1か月に30人以上の離職を予定)の届出がされたため離職した者及び当該事業主に雇用される被保険者の3分の1を超える者が離職したため離職した者

(3) 事業所の廃止(事業活動停止後再開の見込みのない場合を含む。)に伴い離職した者

(4) 事業所の移転により、通勤することが困難となったため離職した者

2.「解雇」等により離職した者

(1) 解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇を除く。)により離職した者

(2) 労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と著しく相違したことにより離職した者

(3) 賃金(退職手当を除く。)の額の3分の1を超える額が支払期日までに支払われなかった月が引き続き2か月以上となったこと、又は離職の直前6か月の間のいずれかに3か月あったこと等により離職した者 ※ 平成29年1月から改正

(4) 賃金が、当該労働者に支払われていた賃金に比べて85%未満に低下した(又は低下することとなった)ため離職した者(当該労働者が低下の事実について予見し得なかった場合に限る。)

(5) 離職の直前6か月間のうちに[1]いずれか連続する3か月で45時間、[2]いずれか1か月で100時間、又は[3]いずれか連続する2か月以上の期間の時間外労働を平均して1か月で80時間を超える時間外労働が行われたため離職した者。事業主が危険若しくは健康障害の生ずるおそれがある旨を行政機関から指摘されたにもかかわらず、事業所において当該危険若しくは健康障害を防止するために必要な措置を講じなかったため離職した者

(6) 事業主が労働者の職種転換等に際して、当該労働者の職業生活の継続のために必要な配慮を行っていないため離職した者

(7) 期間の定めのある労働契約の更新により3年以上引き続き雇用されるに至った場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者

(8) 期間の定めのある労働契約の締結に際し当該労働契約が更新されることが明示された場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者(上記(7)に該当する場合を除く。)

(9) 上司、同僚等からの故意の排斥又は著しい冷遇若しくは嫌がらせを受けたことによって離職した者及び事業主が職場におけるセクシュアルハラスメントの事実を把握していながら、雇用管理上の措置を講じなかったことにより離職した者

(10) 事業主から直接若しくは間接に退職するよう勧奨を受けたことにより離職した者(従来から恒常的に設けられている「早期退職優遇制度」等に応募して離職した場合は、これに該当しない。)

(11) 事業所において使用者の責めに帰すべき事由により行われた休業が引き続き3か月以上となったことにより離職した者

(12) 事業所の業務が法令に違反したため離職した者

● 平成29年1月1日からは、上記の特定受給資格者の基準が見直されることになりました。

以下の理由により離職した場合、新たに特定受給資格者に該当することとなります。

○ 事業所から妊娠・出産を理由とする不利益な取扱いを受けたことにより離職した場合、育児休業・介護休業等の申出を拒否されたことにより離職した場合

○ 事業所からの賃金不払があった場合について、賃金不払が1度でもある場合(上記2.(3))

以上が特定受給資格者に関する改正です。

特定受給資格者に該当するかは、離職票の離職理由等により判断されます。

退職者にとって特定受給資格者に該当するか否かで失業等給付の受給額に大きな違いが出る場合があります。

そのため、離職票の離職理由が思わぬトラブルを招く原因になりかねません。

また、会社としては過去の特定期間に特定受給資格者となる離職者がいる場合に、厚生労働省管轄の助成金の受給に影響が出る場合があるなどの懸念点もあります。

離職票の離職理由は、事実に基づいて正確に記載する必要がありますのでご留意ください。

 

※ この投稿内容は、掲載日時点の法律等に基づいて作成しています。

 

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2016年11月10日

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