グレース・パートナーズ社労士事務所

佐佐木由美子のちょっと役立つコラム

選択制確定拠出年金の留意点

こんにちは、社会保険労務士の佐佐木由美子です。

北風がまだまだ冷たく感じられますが、そろそろ梅の花が咲き始める時期ですね。今日も外を歩いていたら、七分咲きくらいの桃色の梅の花を見かけました。ふわっと漂う優しい香りに、春を待ち遠しく感じる今日この頃です。

●さて、確定拠出年金制度(日本版401k)は、2001年に導入されてから15年以上が経過し、今日では主要な私的年金制度の一つとなりました。

確定拠出年金制度は、大きく分けて「企業型」と「個人型」の2つがあり、現在の加入者は企業型が約588万人(平成28年11月末現在速報値)、個人型が約29.9万人です。

法改正により2017年1月以降は、これまで加入が認められていなかった公務員や専業主婦(夫)、確定給付年金制度等がある会社の従業員の方などが個人型の加入対象者に加わったこともあり、確定拠出年金の加入者は今後さらに増えることが予想されます。

●本日は、中小企業でも比較的導入しやすいといわれる企業型確定拠出年金である「選択制確定拠出年金(※以降は選択制DCとします)」を取り上げたいと思います。

まず、選択制DCの特徴は、従業員が制度に加入するかしないか、加入する場合の掛金額をいくらとするかをそれぞれ選択できることです。

具体的には、「生涯設計給」などの名称で規定された一定額(上限は55,000円※)のうち、いくらを確定拠出年金の掛金とするか従業員毎に決めてもらいます。

※確定拠出年金の掛金は、拠出限度額が定められており、これを超える掛金拠出は認められません。

企業型確定拠出年金のみ採用している場合は月額55,000円、確定給付型年金もしくは厚生年金基金を併用している場合は月額27,500円が拠出限度額です。

仮に「生涯設計給」を55,000円と規定した場合、従業員は0~55,000円※までの間で確定拠出年金の掛金の額を決めます。

※掛金の最低額は、各規約により定められています。

この場合において、掛金を0円とした従業員は、生涯設計給の全額である55,000円を給与として受け取ります。

掛金を30,000円とした従業員は、生涯設計給のうち30,000円を確定拠出年金の掛金として拠出し、25,000円を給与として受け取ります。

掛金を55,000円とした従業員は、生涯設計給の全額である55,000円を確定拠出年金の掛金として拠出するため、給与として受け取る生涯設計給は0円となります。

なお、掛金の額は会社の規約で定められた時期に変更可能ですが、掛金を拠出していた従業員が掛金を0円に変更することはできません。

ただし、会社の規約で定められている場合は、休職期間(会社都合を除く)や育児・介護休業期間中等が無給であれば、掛金の拠出を中断することができます。

●選択制DCが中小企業においても比較的導入が容易であるとされる理由は、現行給与の一部を「生涯設計給」などの名称で再定義することにより、会社が新たな資金を負担する必要がないという点が挙げられます。

従業員が自分の給与の一部を確定拠出年金の掛金として拠出するのです。

しかしながら、全従業員に掛金の拠出を強制するものではないため、一般的には従業員の満足度を高めることにつながるとされています。

加えて、選択制DCの掛金は社会保険料等の算定基礎から除かれるため、社会保険料等の削減効果が期待できることは、企業側のメリットであり、企業が選択制DCの導入を検討する1つの動機となっています。

注意しなければいけないのは、選択制DCの掛金拠出により、標準報酬月額が下がった場合には、従業員が将来受ける老齢厚生年金が減り、また健康保険の傷病手当金や出産手当金等の支給額が減るということです。

選択制DCを導入し、従業員が掛金を拠出する際には、上記について十分な説明が必要です。

また、掛金の拠出を開始したら中断できない点、原則60歳まで拠出した掛金を引き出すことができない点も必ず周知しましょう。

 

※ この投稿内容は、掲載日時点の法律等に基づいて作成しています。

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2017年02月10日

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